「はめて、くれる?」



……っ。



「千花、それ、」



「っ、わかってるわよ。受け取るって言ってるの」



どういう心境の変化なんだ。



そう思いながらも、千花の指に指輪をはめる。



右手の、薬指。



「ハルからね」



「ん」



「“婚約が破棄になった”って、今連絡来た」



婚約が…破棄に、なった?




「“好きだから、依千花には幸せになって欲しい”って言われちゃった。私の幸せはね、」



ぎゅ、と手を握られる。



その手には、指輪が輝いてて。



「和架と、ずっと一緒にいることよ」



──ああ、もう無理。



ぎゅう、と強く千花を抱きしめる。