「っ、ちょっと悔しかったの」



千花が、俺を見上げてきて。



「和架と“デート”の気分でいたから。向こうにその気がなくても、邪魔されたって思って……ちょっと悔しかった」



「、千花」



千花の腰に腕を回して、自分の方へと引き寄せると。



ぴったりと体が密着して、淡い熱を共有する。



「千花が、可愛すぎて困る」



優しく髪を梳くと、千花は胸に顔を埋めてきた。



その行動ひとつひとつが、どれだけ俺を期待させるのか、千花は知らないんだろう。




「今だけ、」



「ん?」



「和架の彼女になりたいって、思った」



本当は。



ずっと、彼女になってくれればいい。



だけど、千花はそれを望まないから。