「まぁ、そうだろうね」
「千花の呼び方なんて好きにすればいい。そもそも、お前の方が弟なのになんで気つかってんだ」
「……なんでだっけ」
「俺は確かに千花のこと好きだけど、お前に気つかわれたくねーし」
「…変わらないね、和架は」
「お前も変わんねーな」
さっきまでの沈黙がなんだったのか、逆に馬鹿らしくなってきてふっと笑うと、瑞希も意味深に口角を上げる。
「で、昨日どうだったんだ」
「あー…花が、黒だってさ。別にそれに対しての文句はないんだよ。だけどさ、ずっと騙されてたのかって思うとね」
「……別れたのか?」
「“別れよう”って、言った。けど、言ったあと後悔して、電話切ってから悩んでて。それで姉貴に慰めてもらってただけ」
「…別れる気、ねーんだな?」
「まぁね」
「別れるって言ってたら、お前のこと殴ってただろうな」
「ふふ。殴られなくて良かったよ」