「よし、それじゃあ私は仕事行ってくるから。ふたりとも、学校遅れないでね」
ハルさんはいつも俺らが起きた時には仕事に行ってるし、千花も大体この時間に家を出る。
「ん。いってらっしゃい」
「いってら」
“いってきます”と言った千花は、時間を見てから家を出ていった。
「………」
「………」
「……瑞希」
「…なに」
「昨日は悪かった。八つ当たりして」
瑞希は、「はぁ」とため息をついた。
「どうせそんなことだと思ったけど。俺もごめん」
瑞希の視線が、カップのコーヒーへと落とされる。
「結構、和架が来てから姉貴への対応変えたりしてて、自分の中では普通のことだったんだけど。昨日姉貴の言葉とか聞いて、和架に気つかってるように見えたかなって」
……んなの。
「気ぃなんてつかわなくても、俺らの仲ぐらい変わんねーだろ」