「熱下がったし、いつも通り」
「ふふ、それなら良かった。無理はしちゃダメよ?瑞希、様子見てあげてね」
「「わかってる……」」
返事が偶然にも重なり、またお互い気まずくなる。
「和架もほら、座って?あ、お弁当出来てるから持っていくの忘れないでね」
バタバタと朝から忙しなく動く千花。
朝飯を食いながら、それを視線で追う。
「姉ちゃん、今日雨だってさ」
「あら、ほんと?それじゃあ、ふたりとも傘持ってくの忘れないようにね」
用事を手伝ってやりたいけど、千花はそれを嫌がるから。
“私が育てるって決めたんだから”と言われてしまえば、無理やりするのも躊躇われて。
結局、何年間も千花はひとりで用事をこなしてきた。