「ん……」



──……朝、か。



ひさしぶりに、あの頃の夢を見た。



ひどく魘されてしまうから、あんまり見たくない。



やっぱり魘されていたのか、千花が来てくれたんだろう。



洗面器と、タオルが置かれていた。



中に入ってるのは水で、魘されたときにかく大量の汗をきっと拭いてくれてたんだろう。



……なんで、気づくんだよ。



その優しさに俺がどれだけ惑わされるのか、千花は知る由もなくて。




「着替えるか」



時計を見れば、まだ6時。



起きて、制服に着替えて。



部屋に備え付けの洗面所によって顔を洗ってから、部屋を出てリビングに向かう。



お世辞でもなんでもなく、家は広い。



俺と白魏が幼なじみだったなんて、未だに謎である。