──“あのとき”、からだ。
俺が、白魏に来たときから。
瑞希は、千花を“姉貴”と呼ぶようになった。
今、瑞希が“姉ちゃん”って呼んだのは。
どういうことなのかぐらい、わかる。
俺が、いるから。
瑞希は、千花に甘えられなくなった。
じゃなきゃ、俺に隠れるようにして、千花を“姉ちゃん”って呼んだりしない。
本当は、瑞希だって千花に甘えたい。
俺は、きっと。
千花にとっても、瑞希にとっても。
邪魔な存在、だ。
千花も瑞希も、きっと否定するけど。
「ん…」
千花が、ゆっくり瞼を持ち上げた。
瑞希は離れようとしたけど、千花が即座に腕の力を強めたから、逃げられない。



