瑞希は千花の弟だ。
例の彼女と話をするって言ってたから、何かあったのかもしれない。
それをただ、千花に慰められたのかもしれない。
それだけ、なのに。
「……はぁ」
自分の中で黒い感情が渦巻くことに、ひどく腹が立つ。
“そこは俺の場所だ”、なんて。
「……水」
ふと、ここに来た理由を思い出してキッチンの中へと入る。
冷蔵庫からペットボトルを出して、グラスに入れて。
喉が渇いていたから、一気飲み。
飲み干したところで、水の冷たさに思考はかなりはっきりした。
「ん……」
瑞希が小さく動いたのを見て、思わず向こうから見えない位置に移動する。
別に、悪いことなんて何もしてねーのに。



