「私が守るから」
その言葉に、安心した?
ただ、哀しかった?
わからないけど。
「っ……」
あれから一度もこぼれなかった涙が、いくつもこぼれ落ちる。
「大丈夫よ。好きなだけ泣きなさい」
そう言って抱きしめてくれる千花の胸で、ずっと泣いていた。
温かくて、安心して。
「大丈夫」って、本当は誰かに言って欲しかったんだと思う。
どれだけ大人びても、所詮中身は小5。
きっと、どうしようもなく怖かった。
「疲れたでしょ?ゆっくり眠りなさい。おやすみ」
朧げな意識の中で、そんな千花の声が聞こえて。
俺はそのまま、夢の中へと落ちた。