彼の気持ちに気づいたのも、この習慣のせいだ。



小5で家族を失い、閉じこもってしまった和架は、その時にさらに大人びてしまった。



“甘える”ことを知らない彼が、唯一甘えられるのは私だけで。



「…和架」



なんとか心を開いて、和架は元の生活が出来るようになったし、それでも不安になるときは彼を甘やかしていた。




そんな、ある日。



中3のとき。



和架が甘えてきて、いつものように抱きついてくる彼を何気なく腕の中で寝かせていた。



『ん……千花……』



寝言で、ポツリと私の名前を呼んだ彼に思わず頬が緩む。



ずっと面倒見てきた可愛い幼なじみ。



それは。



『千花……好き、だよ』



この一言で、形を変えた。