黒髪が美しくて、艶やかで。
運動神経の良い、女。
亜希は前に、“黒は頭が良いんだろうね”と言っていた。
そして、現れていた時期、は。
「そんなわけ……」
ないだろ?
偶然にも、程がある。
確かに千花は運動できるし、間違ってはないけど、さすがに喧嘩、は。
……護身、術?
千花は白魏のお嬢様。
護身術ぐらいは小さい頃に学んでいるし、気絶ならさせられるだろう。
それに千花は、俺らが喧嘩したらすぐに気がつく。
さすがにここまで来れば、“偶然”では見過ごせない。
いくら知らないフリをしたくたって、ここまで完全な材料が揃えば。
「和架?どうかしたの?」
「……いや」
俺の考え過ぎ、だろ?
そう思いながらもどこか不安なままの俺に、亜希は不思議そうな顔をしただけだった。



