病院の、病室。 微かに匂う薬品。 真っ白な、部屋。 病院にいるとひどく孤独になった気がして、嫌いだった。 そんなの、小5の俺が言えるような言葉ではないけれど。 「なんで」 出たのはそんな言葉だけ。 視界が滲んで、胸が張り裂けそうなほどに痛む。 なのに。 涙がこぼれない自分に、笑えた。 家族を失ったはずなのに。 “父親”と“母親”を、同時に、一瞬で亡くしたはずなのに。 涙なんて、ひとつもこぼれなかった。 胸の痛みだけは、ひどくて息ができないほどだったけれど。