母さんって呼んだのは、ケリをつけるため。



千花の弟にも、息子にもなりきれなかった俺。



そんな俺をいつまでも傍に置いてくれた千花。



引きずらない。



「瑞希、起きろ」



「あのさー……夏休みぐらい寝かせてよ」



「文句言わねぇで起きろ」



「ったく。喉渇いたから起きるけど」




体を起こして、瑞希が起きたタイミングで傍にあった携帯が鳴る。



短いから、メールか。



メールをチェックした瑞希は、それはもう分かりやすいぐらいに頬が緩んでる。



……彼女からだな。