「あなたがそう言うなら、そうなのね」



俺の手を優しく握ってくれるから、このまま溺れてしまいたくなった。



「ふ。じゃあ、俺はアイツ起こしてくるよ」



「うん」



「千花、俺は千花のこと好きだと思ってるよ」



「………」



「大事な、家族だから」



──これ以上、踏み込めない。




「そうね。私も好きよ」



「俺のこと育ててくれてサンキュな」



「どういたしまして」



「んじゃ、起こしてくる」



この時、たったひとつだけついた嘘。



千花はきっと、見破ってるだろうけど。



「──俺はずっと味方だから。母さん」



世界で一番、愛してる。