「最近喧嘩してないみたいね」



「まぁな」



「ふふ、偉いわ」



少し背伸びして頭を撫でられて、心臓が引き攣る。



愛おしいのに、触れるたび苦しくて。



でも触れたら、離してほしくない。



自分勝手。



わかってるけど、手を離すこともできない。




「千花、」



「うん?」



「“思わせぶり”は、良くねぇよ」



未だに優しい手つきで撫でてる千花の手をそっと握って、おろす。



千花は曖昧に笑ってみせただけで。



「和架にしか、しないわよ」



「それも思わせぶりだから」



期待して期待して、最後には落とされる。