面白いはずなのに面白く感じられなくて、テレビのリモコンを操作してワイドショーに切り替えた。宿題をする気になれず、頬杖をつきながら見つめる。

『高速道路で玉突き事故が起こり……』
『マンションで七十八歳の男性の死体が見つかり……』
『昨年十月に起こった誘拐事件について……』

 毎日なにかしらの事故が起こって、誰かが傷ついたりなくなったりしている。

 それを毎日聞き流して過ごしているんだなあと、今更考える。だけど、そのニュースの数だけ、いや、その何倍もの人が悲しんで苦しんでいるのだろう。

 町田さんのように、雅人のように。
 そしてわたしやお母さんのように。

「わたしも、いつか死ぬんだろうなあ」

 事故だったり病気だったりして。できればみんなにちゃんとお別れをしたいから、突然には死にたくないなあ。余命何年とか何ヶ月とか、わかるほうがいい。余命宣告されたときにはどう思うのかはわからないけれど。

 人が死ぬのは辛いから、叶うならばみんなより先に死にたいな、なんて考える。

 死んで星になるとは思えないけれど、万が一そういうものになれるのであれば、みんなを見つめていたい。みんなは、わたしがいなくなったら泣いてくれるのだろうか。

 あんまり泣かれるとちょっとつらいな。

 でも、忘れたように笑って過ごされているのも悲しい。

 わがままだなあ、と独りごちてから気分を変えるために立ち上がった。ひとりきりの家で死ぬとかそんな縁起でもないことを考えるなんて馬鹿みたいだ。

 あまりお腹は空いていなかったけれど、そうめんを茹でて食べてからコンビニに出かけた。

 部屋のクーラーをつけっぱなしに出てきたので、外の暑さがまだましに感じられる。今は暑くても家に帰れば涼むことができる。サンダルをぺたぺたと鳴らしながら十分ほど歩いて、幾つかのアイスとお菓子を買い込んでから戻った。


 二十二度に設定していたし室内で、マンガをリビングに持ち込んでアイスを食べながら読んで過ごす。眠たくなるとそのまま目をつむり、本能に身を委ねる。こんなふうになにも考えずに時間を貪っていると、あっという間に時間が経った。

 午後五時過ぎ。

 一日をこれほど無駄に過ごすとは思わなかったけれど、これはこれで贅沢だ。

 ただ、こんな一日を夏休みの間過ごすことになったらどうしようかと焦りも生まれる。