暫く走り続けていると、ようやく元の屋敷の中に戻った。


そしてそこには、部屋の隅で体育座りをしている川村さんと西川さんがいた。




「いのり!ニセモノ見つけたよ!


それに、ちゃあんと、矢神さんのホンモノも!」




平川さんが、西川さんの方へ駆け寄る。




「ほんと…吃驚だよね。


まさか、さっきまでの矢神さんがニセモノだったなん………え?」




それまで、笑顔だった平川さんの顔色が、みるみる内に悪くなっていった。




まさか…?




「し、死んでる………!


いのりだけじゃない、川村さんも……ど、どうして…」


「これ見ろよ!」




瀬波が、指さした方を見ると、そこには血まみれのカッターナイフ。


そして、川村さんと西川さん、それぞれの胸に傷が。


きっと、このナイフで刺したのだろう。


お互い殺しあったのか、それとも自殺かは定かではないけれど…。