何か歌が聞こえた。


けれど、気のせいだろう、と私は思った。




「暗い…ね」




扉の奥は、暗い暗い空間だった。


けれど、扉を見た時程の、あの気持ち悪いような、禍々しい感じはあまりない。




「本当に、こんなところにぬいぐるみがあるのか?」




そんな事を口走る者もいた。




確かに…さっきまではあると信じていた、というか願っていた。


けれど、全くもって、ぬいぐるみがありそうな気配はない。




「怖いね………」




そう言いながら、堀江さんが私の手をぎゅっと握ってきた。




「うん…」




私も、怖い。




こんなに暗いと、何だか寂しいし、何かが襲って来そうで……。