トイレに入って、すぐさま私は奥の個室を調べ始めた。


無言で。


考えるよりも先に、手を動かした。


何も考えたくない。


考えたくない。




ただ、無造作に手を動かしていたかった。


考える以外の事をしたかった。


この作業でぬいぐるみが見つけようが見つけなかろうが、どうでもいい。


考えなければ、それで良い。




堀江さんも、黙ってトイレを調べていた。




トイレは、静寂で包まれていた。




そのまま、何も起こらず、何十分過ぎただろう。




細かいところまで探してはみたものの、ぬいぐるみはなかった。