保育士は超アイドル!〜恋していいですか?〜

電話を切った花畑 蜜が二人の方を向いて、すごい勢いで頭を下げた。


「申し訳ありません!急用を思い出しました!これで失礼させて頂きます!」


「明日から頼むわよ。みっちゃん先生」


園長の言葉に笑顔で答え、部屋を出ようとした。


「ちょっと待ちなさい。帰るには早いでしょ?」


柚が少し怒った声で花畑 蜜を引き止める。


「はい?」


「あなた、ここで働くんでしょ?せめて他の先生たちに挨拶くらいして行きなさいよ」


もっともな助言であるが、今の花畑 蜜にはその時間すらない。
園長が口を開きかけた時、花畑 蜜が柚の側に行き、その知性を感じるくちびるを柚の耳元に近付ける。


「ごめん。明日から頑張るから」


柚の目の前を、爽やかな、まるでコスモスが揺れた時の、あの優しいふわーっとした風が吹いた。
そして体中の血が熱く燃えて行く。