保育士は超アイドル!〜恋していいですか?〜

「車、出して」


風人に促されるも、月川はなかなか路肩に停めた車を出す事が出来ない。
ふとバックミラー越しに蓮を見ると、完全に動きが停止している。
目を丸くして口をポカンと開け、これがドームで何万人ものファンを幸せにしている国民的アイドルだとは思えない。
何とかしなくては。と、月川はあらゆる思考回路をフル稼働させてみるが、いい言い訳は見つからない。
賢い風人のこと、下手な言い訳は怒らせるだけだろう。


「分かりました」


観念したように力無く、月川が答えた。


「いいよ。行かなくて」


さっきまでの間抜けな顔とは別人の、何か吹っ切れたように凛々しい顔の蓮が、バックミラー越しに月川を見ている。
月川は驚いて振り返った。