保育士は超アイドル!〜恋していいですか?〜

「間に合わないって?」


「あぁ、大丈夫です。たぶん。あと少しなら……」


その時、花畑 蜜の携帯が鳴った。


「あ、すみません。ちょっと失礼します」


部屋の隅に移動すると二人に背を向けて小声で電話に出る。
その携帯の画面にはものすごい数の着信通知が連なっていた。


「もしもし?」


トーンの下がった低い声には鬱陶しさが込められている。
だが、一瞬でその顔が変わった。


「え?何?ちょっと待って。早くって。何で?今日は午後から……え?電話?知らないよ」


漏れ聞こえて来る怪しい会話。
柚は園長の方へ目を移す。
園長は聞こえているのかいないのか、中庭の満開のコスモスを微笑みながら見つめている。