「園長、どういう事ですか?彼が新しい先生?」


「カッコイイでしょ?彼。結婚しちゃう?」


面白そうに言う園長に、柚は『からかわないで下さい!』と本気で怒った。


「まぁまぁ、怒らないで。柚先生が待ってた新しい先生よ。名前は、つ……」


「あ!な、名前!名前は」


園長が名前を紹介しかけた時、彼が慌てて割って入った。
それを見て園長も慌てて口を押さえる。


「えーと、僕の名前は……」


園長室の部屋の窓から中庭が見えた。
たくさんのコスモスが風に揺れている。
花の香りに誘われたのか、小さなミツバチも数匹飛んでいた。


「は、花畑……蜜。花畑(はなばたけ)蜜(みつ)です。めっちゃ美味そうでしょ?」


園長は始めキョトンとしていたが、すぐに我に返って彼を見て大きな拍手を送った。