「ちょっと!」


ふと我に帰った柚が花畑 蜜を突き飛ばした。
どこにまだそんな力が残っていたのか花畑 蜜は尻もちをつく。


「いてっ!」


「あっ、ごめんなさい!ごめん!」


花畑 見つめての手を引っ張って、体を起こすのを手伝う。


「そうやって照れるところも可愛いんたけどさ」


にっこり笑って柚の手を引く。


「秋桜、見ようよ。綺麗だよ」


子供みたいに無邪気な綺麗な目が眼鏡越しに柚を見る。
『このコって……』


「分かった。分かった」


園児を相手するかのように観念した顔で柚が花畑 蜜について行く。


秋桜は青い空に揺れている。