「は……はい」


ずり落ちそうな体勢をかろうじて保つ。
柚は『なら、良かった』と言うと、一気に花畑 蜜の体を階段の上まで引き上げた。
わずか3段ほどだが女性の力では大変だろう。
そこはさすが力自慢の柚。


「あなた、案外、ガッチリした体してるのね。あっ、変な意味じゃなくて。誤解しないでよ。ただ、見た目、男にしては華奢っていうか細いでしょ?ね?イマドキのコなのかしら。アイドル系のタイプよね?」


笑う柚の顔がとても優しくて、花畑 蜜もつられて笑った。


「アイドル、系、ですか?そんな事言われたの初めてですよ。体は……これでも鍛えてますよ。ムキムキにならない程度に。僕、顔が地味だからちょっとしたギャップがある方がモテるかなと思って。もう一回、触ります?」


わざと服を脱ぐ仕草をして見せる。
柚は慌てて後ろを向いた。