保育士は超アイドル！〜恋していいですか？〜

「大丈夫か？」


「え？何が？あ、いや、何でもない。何でもないから。ほんと。何でもない。アハハ。じゃ」


ひきつりながらの作り笑い。
余りのおかしな言動に、鋭い風人は何かあると感じた。
少し離れた所で一人携帯をいじっていた珀も同じ事を感じていた。
二人の心の奥の方でざわざわと嫌な風が吹き始める。




「蓮さん、明日はどうするの？ほんとによつば保育園に行くの？」


昼よりも明るいんじゃないかと思うような夜の交差点。
運転していた30歳くらいの男性が赤信号で止まり、後部座席でうたた寝している蓮に話かける。
あくまで男性。
見た目は中肉中背の一般的な男性。
でも、この男性、普段は普通に話しているが、蓮と二人きりになると途端におねぇ言葉に変わる。

月河 光(つきかわ ひかる)、月夜見 蓮の敏腕マネージャー。


「うーーーん。ん？何か言った？」


目をこすりながら面倒くさそうに蓮が答える。


「もう。蓮さんたら。そんな不細工な顔、テレビでは絶対に見せないでよ。明日、明日です！ほんとに例の保育園に行くの？」


「行くよ。当たり前だろ。行くって決めたんだから。オレは保育士さんなんだから」