木製の郵便受けを開くと、今日も同じような封筒がごっそり出てきた。

 サラサラと目を通す。

「あっ」

 その中の一通で私は手を止めた。

 すばやくはがきの裏を見る。

 どきどきするような異国の青い空の下で、体格のいい男がこちらに向かって手を上げている。

 空には黒いペンでこう走り書きされていた。




『ラベンダー荘のみんなへ。


 世界は、とても綺麗です。


 いま、笑顔ですか?


     YASUTAKA』




 写真の中で満面の笑みを浮かべる康孝。

 知らずにわたしの頬も緩んでいく。