私は裏庭の様子も見に行く。



 ガーベラが揺れている。

 オレンジ、赤、白、ピンク。

 あの、よくとおる明るい笑い声がいまにも聞こえてきそうだ。

 時間をかけて育てられたガーベラのしっかりとした太い茎は、台風にも負けはしない。

 

 その向こう、雨の雫をいっぱい背負ったハーブたちが大地に寝そべっていた。

 私は伸ばしかけていた手を止める。

 大丈夫。

 手を貸さなくても、太陽の方へ、ハーブは自力で起き上がっていくはず。





 カラカラと頭上で音がした。

 仰げば、アキラがサボテンの置かれた窓からこちらを見下ろしている。

「おはよう」

 私の言葉に、アキラは笑顔で口を開く。

「いい曲ができたんだ。あとで聴いて」

 私はアキラに手を上げてから、ラベンダー荘のアイアンフェンスの門に向かう。