生まれたてのような太陽の透明な陽光が、ラベンダー荘を包み込んでいる。

 アイアンフェンスに絡まったバラの大輪の向こう。

 朝焼けの空を映したピカピカの窓と真っ白なラベンダー荘の壁が、陽光を反射している。

 二ヶ月前にここへやってきた時と、ほとんど変わらないはずなのに、何かが完全に違って見える。

「ついたぁ」

 信也が両手を高々とあげた。

 かおりは私とアキラの手をとって、「わーいっ」と上に持ち上げた。

「やったぁ」

 かおりは本当に嬉しそうに笑っている。

 アキラは半分寝ているような顔をしながらも、私たちと同じ場所に立って、旅の終わりを味わっているようだった。

「これで、今回の旅は終わりだよな」

 信也が康孝を嬉々として見上げた。

「終わりだ」

 康孝の言葉に、かおりは少しさびしそうにうつむく。

「終わってよかったけど。なんだか少し寂しい」

「また行けばいい」

 アキラの意外な言葉に驚きながらも、かおりは「うん」とうなずいた。

「そうだな」

 康孝はひげの生えた顔で言う。

「旅の終わりは、次の旅の始まりっていうからな」

「なぁ、風呂入って、もう寝ようぜ」

「信也…お前、俺がせっかく、かっこいい言葉で締めようとしてるのに、なんてことを!」