楽しげな瞳が空を映している。

「なに?」

「もし、私が、この空の向こうに人がいる、って言ったら信じてくれる?」

「え?…何、急に。」

「いいから」

「うーん、どうだろう。」

 かおりは私の顔を見て、くすりと笑う。

「昔、おばあちゃんに聞いたことがあるの。この空の上にはたくさんの人がいて、私たちを見守ってるって。」

「神様のこと?」

「ううん、彼らは私たちのような人間なの。それを聞いてからね、なぜだか分からないけれど、空を見るたびに感じるのよ。ずっと、私が生まれたときから、その人たちは私を見てるって」

 この澄み切った空の果てで、いつも私たちを見下ろしている。

「見てるだけ?」

「見ながら考えてるの。私たちと同じように泣いたり、笑ったりしながら。わたしのこと変だと思う?」