「ねぇ、信也くんは康孝さんに会えた?」

「は?」

 信也は私に、聞き返そうとしたがその前に事を理解したらしく、「あああ」と手を頭にのせた。

「もしかして、もう旅立ったとか?」

 信也の問いに私はうなずく。

「そっか。まぁ、突然旅に出るのはいつものことだから、予想はしてたけど。」

「いつも何も言わないで行っちゃうの?」

「まあね。康孝さん、ここに来ると寝袋でそこらへんに寝てるから、整理する荷物もないし、思い立ったらすぐに行けちゃうんだよ」

「でも何も言わないなんて」

「康孝さんにとって、ここは家の一つなんだって。旅っていっても、あの人にとっては俺らがコンビニに行くような気軽なものなんだ」

「いろんな場所に、帰るところがあって、家族がいるってなんだかいいね」

 私の言葉に、アキラが隣でつぶやく。

「あたしたちも、家族なのか?」

 信也はアキラを見る。

 私はかおりならなんというか考えて口を開く。

「そんなものでしょ」

 アキラと信也の視線を受けながら、私は手のひらを合わせた。

「いただきます」


 
「「…いただきます」」