「おはよー」

 信也は、寝癖のついた髪を手櫛で整えながら、焼きたてのパンとスクランブルエッグ、カリカリのベーコンブロックが添えられたレタスサラダがのったテーブルの席についた。

「信也くん、おはよう」

 私は正面に座った信也の顔を見ていった。

 信也は焼きたてのクロワッサンをみて驚く。

「へぇ、優子ちゃんパン焼けるの?」

「バカか?」

 信也は、朝から不愉快極まりない言葉がしたほうへ、顔を向けた。

 オニオンスープをお盆にのせたアキラが、テーブルにやってくる。

「まさか、ア、アキラが、焼いた、のか?」

「買ったのをトースターで焼いたんだよ!なんか文句あるのか!」

 信也は口元を片手で覆う。

「文句なんて―――」

 そう言いながら軽く涙ぐむ。

「文句なんてあるわけないだろ?朝食作ったことなんて一回もなかったのに。アキラ、お父さんは嬉しいぞ」

「バカいってないで、冷えるからさっさと食えよ」

 アキラはオニオンスープを並べていく。

「エプロンはしないのか?かおりの白いやつがあるだろ?可愛いかもよ」

 ニコニコしながら言う信也に、アキラが熱々のオニオンスープをひっかける前に、私は言葉を挟んだ。