突然のかおりの言葉に、みなそれぞれの反応になる。

 アキラはやっぱりという表情になり、信也は先を越されたように少し悔しそうに寝癖のついた頭に手をやり、私は怖いくらい胸が高鳴った。

「見つけたのか?」

 信也の問いにかおりは素直に答える。

「たぶん。でもね、私の見つけたものは、みんなが知りたいものとは違うの。だから康孝さんが旅に出る前に、康孝さんにだけ話したの。そうしたら、君が見つけたものならそれが答えだって」

 かおりはアキラを見つめる。

「アキラはきっとその会話を聞いてて、それなのに、普段と変わらずに生活してる私を見たから、謎から逃げてるって思ったんでしょ?」

「違うならなんでここにいるんだよ」

 不器用なアキラの言葉に、かおりは微笑む。

「みんなと一緒にいたかった。こんなに心地いい場所ほかにない気がして。でも、それを見抜いていた康孝さんに言われたの。ここは長く居る場所じゃないって。俺が次に帰ってくるまでに、ラベンダー荘を卒業してなさいって」

 そこまで一気に話して、かおりは立ち上がると食べ終わった食器を持って、背後の流しに持っていく。

 信也はかおりの見つけたものを、はなから利く気はなかった。

「いつ、出て行くんだ?」

 それにかおりは背を向けたまま答える。

「裏庭の花壇ももうすぐ完成するから、そうしたら出て行くね。」

 かおりは気づいているだろうか。

 アキラがこんな表情をしているのを。

 アキラ自身ももしかしたら気づいていないかもしれない。

 それを見て、私も胸が痛くなる。