眠そうなアキラを連れて、朝食に下りていくと、寝癖のついた信也が椅子に体を預けて、はがきを頭上に掲げて、じっくりと眺めていた。

「おっ。二人とも、おはよう」

 信也はそう言いながら、はがきをテーブルの真ん中に置いた。

 はがきが気になりながらも、炊き立てのごはんと、湯気の立っている味噌汁、油ののった焼き鮭の香ばしい匂いで急激に食欲がわき、私もアキラもテーブルを囲う椅子に座った。

 エプロンをはずして最後にかおりが席に着く。

「「「いただきます」」」

 若干一名言ってない気がしたが、最初の一口を口に入れた瞬間、どうでもよくなった。

「おいしい」

 感想を言ったのは私だけで、信也もアキラも黙々と食べ続けた。

 四人で食べる初めての食事。

 家族ではない。友達と呼ぶにはまだ早すぎるし、知人というのも何か違う。

 失ったものを探しているという目的のせいか。

 あるいは、一つ屋根の下でともに暮らし、こうして同じものを食べているせいか。

 なにか特別なつながりを感じてしまう。

 それは、在るか無いか分からない曖昧なものだけれど。