その夜。

 信也の予言では少ながらず今日の夜には、謎に出会えるということだったが、いつの間にか寝てしまったらしく、目が覚めて時計を確認すると0:45になっていた。

 ふと、動くものが視界に入り、窓のほうへ視線をうつす。

 動いていたのはカーテンだった。

 その、静かにゆれるカーテンの奥。

「窓が」

 開いていた。

「閉め忘れたのかな」

 ゆっくり起き上がって窓に近づく。

 小雨が降っていた。

 しとしと。しとしと。

 月は見えない。

 しとしと、しとしと。


『―――咲く』


 窓を閉めようと木枠に手をかけた瞬間。

 何かが聞こえた。

「もしかして…」

 これが信也くんが言っていた、気づく人は気づくし気づかない人はまったく気づかないっていう……

 私は、頬にまで鳥肌を立てながら、窓の外に耳を傾ける。

 しとしと、カッ

 ポロン。

 しとしと。

 次の瞬間、私は息を飲んだ。