午後は気を利かせてくれたかおりに連れられ、私は部屋のカーテンを買いに行った。

 お気に入りを見つける頃には、散々歩き回ったせいでへとへとになっていた。

 健脚自慢のかおりもさすがに疲れたようで、夕食はデパ地下で購入し、帰路に着く。

 近所の住人たちが送る奇異な視線が、みんなが知りたがっている謎の只中にいることを私に思い出させる。

 ラベンダー荘に帰宅すると、今日の夕食の当番であるかおりが、さっそく購入した惣菜でテーブルセッティングを始めた。

 私はカーテンを取り付けに自分の部屋へ向かう。

 そこへギターを背負って扉から出てきたアキラと視線が合った。

「今日帰るの遅いから」

 聞いてもいないのにアキラが言う。

 声が少しきまずそうだ。

「そう」

「―――」

 何か言いたそうなアキラに背を向けて、私はすばやく扉の内側に入った。