Name ~ 名前なんていらない ~






――「あはははははっ…まじかよ………おーい、紗結」


苡槻が呼びかけると、校舎の陰から、紗結が黒髪を揺らしながら近づいてきた。



――「やっぱり陽茉莉、いーくんの事好きなんじゃん。嘘つき」




紗結の、軽蔑的な冷たい目。


そして、低い声。





―ゾクッ




私の体は、知らないうちに震えていた。





……昔のことを、今更思い出した。できれば、思い出したくない記憶だった。