「―――あれ、自殺なんだ。父さんの浮気を知って、自殺したんだ」 「えッ―――」 私は、反射的にうつむいた。 「最低だろ、俺の父さん」 苡槻は、そう言いながら立ちあがった。 「俺らが生まれる前から、浮気してたみたいなんだ。ホント、最低だよな。 ………父さんと愛人が、母さんを殺したんだ」 苡槻の眼は、恐ろしいほどに冷たかった。 「…それだけ。帰ろ、桜井」 ”桜井”……。 心が、一気に曇った。 「……うん」