Name ~ 名前なんていらない ~














「…ねぇ」




早歩きする苡槻の背中に、呼びかけた。




でも、苡槻は振り返ることなく、歩いている。



…私の手を握ったまま。








「……ねぇ、苡槻」




また呼びかけてみたけど、返事はない。


苡槻は黙って歩いている。






「ん。」




苡槻が、私を連れてきた場所は、駅からそんなに遠くないところにある、小さな公園だった。