サトが乗り込んだ電車が発車すると、苡槻が口を開いた。 「陽茉莉」 ぞわっ…。 「………ん?」 「なんでもない」 なんで、名前で呼んだの…? ねぇ、苡槻。 期待しても、いいの…? 苡槻と私は同じ電車に乗る。 この時間帯は、朝に比べればすいている。 「ちょっと、きて」 私たちが住む町の駅に着き、電車を降りた時、 そう言って、苡槻が私の手を握った。