――名字で呼ばれるようになったことくらい。 声がした方に目を向けると、苡槻が、大勢の女子の間をすり抜け、私の方に向かってくるのが見えた。 翼咲は、またニヤニヤしていた。 「あ、じゃあウチは自席にもどりまぁーすっ」 そう言って、翼咲は自席に戻った。 「桜井。」 「…なに?あの子たちといなくていいの?」 「別に。…俺は、桜井と話したかったから。」 心がざわつく。 心拍数が、急激に上がった。 私と、話したい…? たくさんの女子たちよりも、私1人を選んだの…?