ゲゲッ! どうしてここに!
想定外の早さで気付かれてしまい、焦りまくる私。
「『どうしたのぉ』じゃねぇよなぁ? お前……、俺をハメたろ」
「ハ、ハメ、ハメたなんて人聞きが悪いなぁ……あはは……」
完っ全にバレてる!
桐生君の鋭い視線から逃げるように目をそらし、作り笑いをしながら必死にとぼける。
ど、どうしよう……。何の言い訳も思いつかないっ。
頭をフル回転させて考えるものの、焦れば焦るほど桐生君に納得してもらえそうな言い訳が出てこない。
これはさすがにやばいと、本格的に覚悟し始めたころ
「まぁ、俺を驚かすために内緒でチョコを買おうとしてたんだから、今回は許してやるか」
「驚かす……?」
突然桐生君がワケのわからないことを言い始めた。
な、なんだか、私が桐生君にチョコをあげる前提で話が進んでるみたいだけど……。
桐生君のあまりの思い込みの激しさに目を丸くする私。
冗談じゃないよ~っ! 桐生君なんかにあげたくないし!
「なんで私が桐生君にチョコあげなきゃ……。……っ!」
「?」
桐生君に抗議しようとしたその時、私の頭の中にピカ~ンと本日二度目の名案が思い浮かんだ。

