キスから始まる方程式



「キャ~ッ! これめっちゃ可愛いっ」



ようやく自由の身になった私は、ズラリと並べられた可愛いチョコ達を片っ端から見て回った。



「あっ、こっちも可愛いなぁ! うわっ、これもキレ~!」



どれも色とりどりにキレイに飾られていて、見ているだけでも心が弾んでくる。


他のお客の女の子達も、皆一様に瞳をキラキラと輝かせていた。



「う~ん……どうしようかなぁ……。既製品もいいけど、やっぱり手作りのほうがいいかなぁ……?」



翔が喜んで食べてくれる姿を想像し、クフフとひとり笑いをしていると



「ほー……? 何を手作りするってぇ……?」

「へ……?」



突然背後から、ただならぬ気配と共に声がした。



恐る恐る振り返る私。



もしかして……



「あ……あれぇ? 桐生君……。ど、どうしたのぉ……?」



そこには、怒りで頬をひくひくとひきつらせた桐生君が、腕組をしながら仁王立ちしていたのだった。