キスから始まる方程式



な、なんで~っ!? これじゃチョコなんて見に行けないよ~!



作戦失敗を嘆いている間にも、刻々と特設コーナーが迫ってくる。


焦って半ばパニクッていたそのとき……



「ねぇ、あの男の子めっちゃかっこよくない?」

「うん! すっごいイケメンっ」

「隣にいる女の子って彼女かなぁ?」

「えぇっ? でもそれにしては2人のキョリが離れ過ぎてない? 単なる通行人かもよ?」



私の耳に、他校の女の子達の騒ぐ声が聞こえてきた。


どうやら、桐生君に声を掛けようか迷っているらしい。



へ~……。やっぱり桐生君てばモテるんだなぁ……。


まぁ確かに、黙って立ってれば顔だけはカッコイイよね……。



チラリと横目で桐生君を見やりながらトボトボと歩く。



あ……いいこと思いついたかも!



女の子達の会話から突然名案を思い付いた私は、リベンジとばかりに第二作戦を決行することにした。