「風間君には今年はあげないの?」

「か、翔!? だだだだ、だって翔、彼女いるじゃんっ」

「え~っ? べつに彼女いたって義理だったらいいんじゃない?
ましてや七瀬は風間君の幼なじみで毎年あげてたんだし」



「なんでそんなにこだわるの?」と言いたげな表情で、サラリと麻優が呟いた。



「え? 私があげても……おかしくないかな……」

「うん、いんじゃない?」

「そっかな……。うん、そっか……。そうだよねっ」



べつにいつもみたいに渡せば、何も問題ないよね!



エヘヘと、傍から見たら「大丈夫?」と突っ込まれそうな怪しい笑みを浮かべながら、ペットボトルの残りの水を一気に飲み干す。



「さっ! 休憩終わりだよっ」

「うっしゃ~っ!」



麻優の一言ですっかり上機嫌になった私は、後輩達がドン引きするのもかまわず更にハイテンションモードで部活に勤しんだのだった。