キスから始まる方程式



「おっす南條」

「結城さんもおはよう」

「あ……、おは……よ」



何度も目の当たりにしてきた光景が、当たり前のように今日も変わることなく繰り返されて行く。



翔の隣で楽しそうに笑う南條さん。


そしてそれを羨ましそうに後ろから見つめる私。



―― ズキン



その度に伴うこの胸の痛みは、いったいいつになったら消えてくれるのだろう……?



どうにも辛くて悲しくてギュッと唇を噛みしめた時、突然背後から誰かが抱きついてきた。



「っキャ!?」



え!? だ、誰っ!? 麻優?



「おはよう七瀬」



私の耳元に響く、聞き覚えのある男の子の声。



これってばまさか……



「も……もしかして……桐生君!?」

「ご名答」



再び私の耳に、楽しげな桐生君の声が響いたのだった。