ゲッ……瀬戸君!



瀬戸君の顔を見た途端、更に頭痛が激しさを増す。



あれだけ言ったのに、なんで諦めてくれないの……?



そう思った瞬間、瀬戸君の気持ちと私が翔のことを諦められない気持ちが急に重なって見えた。



もしかして……瀬戸君も……私と同じなのかな……。


私も翔のことを、いつまでたっても忘れられないもの……。



「七瀬、もう一度話がしたいんだ……」

「……」



今にも泣きそうな面持ちで必死に言葉を繰り出す瀬戸君。


気が強い私は、普段なら「いい加減にしてよ」と怒鳴り返しているところなのだが、なんだか自分を見ているようでそんな気になれなくなってしまった。



「ここじゃ……目立つから……」

「七瀬……!」



まさか廊下で別れ話をするわけにもいくまい。


とりあえず人けの少ない裏庭へと場所を移すことにした。