「ふふっ」
なんだかそのことがものすごく嬉しくて、自然と顔が綻ぶ。
そんな私を今度は桐生君が不思議そうな顔で眺めながら、コホンとひとつ咳払いをした。
「ところで、風間と何話してたんだ?」
もう全然気にしてないのかと思いきや、やはりそこは彼氏として一応聞いておきたいらしい。
余裕の表情とは裏腹にピクピクと動く眉がこれまたおかしくて、私はわざと意地悪な返事をした。
「気になる? あっ、もしかしてヤキモチ~?」
ニヤニヤといたずらっ子のように茶化す私に
「バッカ! そんなんじゃね~よ!」
慌てた様子で顔を真っ赤にする桐生君。
「ふふっ、可愛い」
「か、かわっ!?」
なおも私がからかうと、声が裏返るほど動揺しながら、桐生君はその場から逃げるように突然歩き出した。
ちょっと、からかい過ぎちゃったかな?
早足でどんどん先に行ってしまう桐生君に、心の中でちょっぴり反省しながら私も小走りにあとを追いかける。
ようやく追いついて横から仰ぎ見た桐生君の顔は、すねた子供のように見事なふくれっ面をしていた。
「ゴメンゴメン、もういじめないから」
笑いそうになるのを必死でこらえながら、もう一度ゴメンねと謝る。
それでも不服そうに唇を尖らせているので、「そういえば……」と話題を変えてみることにした。

