キスから始まる方程式



「ねぇ桐生君。翔と仲直り……ってゆ~か、友達になったの?」



明らかにこれまでとは異なる二人の様子に、消化不良状態のようにもやもやとスッキリしない。



「はぁ? 友達!? んなわけね~だろ!」



思い切って聞いてはみたものの、もちろん私が期待していたような答えが返ってくるわけもなく……。



はぁっ……。やっぱりそんなうまくはいかないよね……。



心の中で溜め息をつきながらちょっぴり落胆していると



「まぁでも、あいつには感謝してるけどな……」

「え……?」



聞こえるか聞こえないか程の小さな声で、翔が過ぎ去った跡を遠く見つめながら桐生君がポツリと呟いた。



「桐生君……」



私の耳に確かに届いた桐生君の本音が、ストンと私の胸に落ちる。



そっか……。男の子ってきっと“言葉”じゃないんだ。



私達女の子は、女子高生になった今でも当たり前のように“友情”とか“大好き”とかいう言葉で互いの気持ちを確かめ合う。


けれどよく考えてみると、男の子は思春期を迎えるとそういった言動はもちろんのこと、俗に言う“金魚の糞”のように常に群れたりしない。


日常の中で互いに認め合い、そしてそれを無言で感じ取る。


やはり自分にはいまいちピンとこないけれど、当の男の子達に説明を求めたところで「男なんてそんなもんだよ」の一言で笑い飛ばされてしまうに違いない。

きっとそれ程彼らにとっては、至極当然のことなのだろう。


そんなふうにして今回のことで、桐生君と翔の間にも“友情”に近い何かが自然と芽生えたのかもしれない。