あ……あれ……?
予想外の桐生君の反応に、まるで狐につままれたように目を丸くしてぽかんと立ち尽くす私。
少し前まで二人は、確かに犬猿の仲だったはずなのだ。
ピリピリとした空気が漂っても全くおかしくないのに、それどころか険悪なムードの欠片さえないなんて。
落ち着いた雰囲気の中、わけがわからず一人おろおろと二人を見比べる。
やはり完全に私だけが置いてきぼり状態だ。
「わりぃ、ちょっと待たせちまったな」
「え!? あ…… ううん!」
至極平然と進んで行く流れに動揺しつつも、だからといってそれについて言及することもできず、ただただ呆気に取られるばかり。
「じゃ、俺はこれで」
そうこうしているうちに、これまた友達と別れる時のようにサラリと言葉を発し、軽く笑みを浮かべその場を立ち去ろうとする翔。
「あぁ、またな」
「え!? あ……っ」
更にそれに普通に受け答えしている桐生君への驚きも相まって、もう完全に何がなんだかわからない。
えーと……、確か二人はものすごく仲が悪くて、とても友達なんて関係になれるような感じじゃ全くもってこれっぽっちもなかったような……。
いまだ混乱状態の頭で、遠ざかって行く翔の背を呆然と見送る。
すると突然翔が歩みを止め、勢いよくこちらを振り返った。

